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 日本モノづくり紀行 第一回/横浜・金沢産業団地(横浜市金沢区)
加工業、流通業など中小企業約700社が集積する国内最大規模の工業団地、 金沢産業団地で始まった製造業者有志によるモノづくりのためのコミュニティーサイト 「技者(ワザモノ)王国」をレポートします。

横浜市金沢区にある金沢産業団地は製造業を中心に加工業、流通業など中小企業約700社が集積する国内最大規模の工業団地だが、製造業者は海外生産の波に押し寄せられて、景気回復にもかかわらず厳しい状況に立たされている。そうした中、産業団地内では、製造業の活性化に向けた新たな取り組みとして、製造業者有志が集まり、モノづくりのためのコミュニティーサイト「技者(ワザモノ)王国」を立ち上げた。

ネットを通して自社技術をPR

技者(ワザモノ)王国
 
http://www.wazamono.org/

同サイトは、金沢産業団地内に本社を置く治具、木型製作のミナロ(緑川賢司社長)、商業印刷などを手掛ける神奈川機関紙印刷所(山下善武社長)などが発起人となりスタートした。ホームページ上には、参加企業のプロフィルや得意分野、自社設備に関する情報の紹介やイベント情報などが掲載されている。情報発信を積極的に展開していくことで、日ごろ、自社PRをする機会がない中小製造業の活性化を狙う。

金沢産業団地では4、5年前までは空き地が20−30カ所もあり団地の空洞化が進んでいた。しかしここ1、2年あまり空き地は2、3件まで減少。空き地件数を地域経済のバロメーターとしているという横浜金沢産業連絡協議会によると「業界の景気が底を打って回復傾向にある」と企業に追い風が吹き始めていると分析する。

「技者王国」の仕掛け人、ミナロの緑川社長
 
「技者王国」の仕掛け人、
ミナロの緑川社長

だが、好景気が続くかは不明な状況で、今後の製造業の生き残りについて、横浜金沢産業連絡協議会では事業者としての経営モラルと、自社技術をいかに活用できるかが製造業が生き残れるカギとなると説明している。

こうした厳しい環境の中で、ミナロの緑川賢司社長は、「製造業も自らが情報発信をしていく必要 性がある」と主張する。日本最大級の規模を誇る金沢産業団地内には、多分野の技術や経験が集ま っている。この好環境を生かさない手はないという考えが、コミュニティーサイト「技者王国」の 立ち上げにつながった。日本の基幹産業である製造業の力をインターネット上で結び「モノづくり 共同体」を作ることで、技術力強化の推進を目指す。さらに、企業間取引(BtoB)のための企業間連携(BwithB)の実現を目的とする。


全製造業へ参加を呼びかける

立ち上げのきっかけは、緑川社長が金沢産業団地内の木型製作所に勤務していた時に、約700社も集積している団地内の企業を取りまとめるサイトがないことに気づいたことだという。行政などに相談したが、「お金も人もない」と断られた。それなら自分でサイトを立ち上げようと思い立ったことが大きい。現在は約20社が参加している。もともと、情報発信が苦手、または必要ないという考えるのが製造業。技術や知識が集積した工業団地内の企業が集まるサイトがあるといっても、すぐに積極的な参加をする企業は少ない。もしくは、サイトの存在さえ知らない企業もいる。全体のうち約300−400社が製造業のため、これから全製造業の参加を目標とし、呼びかけを強化していくという。

技者王国に参加している野毛電気工業の製造現場風景
 
技者王国に参加している
野毛電気工業の製造現場風景

こうした取り組みが育つ背景には、金沢産業団地内には中小企業が集積している環境による。約 700社の平均従業員数は約20人と、経営上でも小回りが利く環境にあることが大きい。団地内 の企業情報を1カ所に集め、情報発信する。また、参加企業はサイト上から得た情報をもと に、自社経営や販路開拓に結びつけていくという好循環が生まれるという仕組みだ。他社にはない 独自技術やノウハウを持つ製造業は多い。問題はその技術について、どのようにPRや広報をして いくかだ。

緑川社長は「製造業者でも積極的な情報発信をしていくことで、事業を拡大することができる」という。さらに、「今後は、商業者らとの連携も深めていくことで、工業と商業を合わせたモノづくりができる」と異業種交流でのモノづくりも展開する予定だという。 多くの製造業者が抱える悩みを解決しようと立ち上がったサイト「技者王国」から、 横浜金沢産業団地発の新たな取り組みが生まれる可能性に期待がかかる。


【地域メモ】 横浜金沢産業団地  横浜市南部の臨海部に位置する製造業を中心とする一大産業集積地。
1966年に横浜市が発表した基幹事業の1つで、隣接する鳥浜工業団地と合わせて金沢臨海産業団地(約542ヘクタール)と呼ばれる。 現在2つの団地を合わせて計900社の大小企業が操業している。

取材:植松理恵(横浜総局)

 

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